涼しくなってきましたね。
今回はたまたま図書館で見つけて、それ以来忘れられなくなった本を紹介します。
M.T.アンダーソン著『フィード』です。
翻訳は金原瑞人(金原さんの翻訳書にははずれがない気がします)
☆あらすじ☆
最新のファッション、新作のゲーム、今の気分にぴったりのBGM・・・・・・。欲しいものはみんな、脳の中に埋め込んだコンピューター「フィード」が運んできてくれる。
そんな世界に暮らす主人公タイタスは、友だちとつるんで出かけた月のクラブで、不思議な女の子ヴァイオレットに出会った。1週間ごとに変わる流行にキャーキャー群がる同級生の女の子たちとはちがって、ヴァイオレットはいつもいろんなことを自分の頭で“考えて”いる子だった。おたがいに魅かれあう二人。だけど、ある事件をきっかけに、ヴァイオレットのフィードの調子がおかしくなっていく…
アメリカのいわゆるヤングアダルトものですが、
ただの青春ものよりも複雑で悲しくて...
大人が読んでもおもしろい小説です。
大人が読んでもおもしろい小説です。
設定は近未来でSFですが、すぐになんでも検索できて、
ほしいものも手に入る「考えなくてもいい」
今の時代にとても近いと感じました。
ほしいものも手に入る「考えなくてもいい」
今の時代にとても近いと感じました。
最近この本のことを書きたいと考えていて、
これって『華氏451』に似ているなとひらめきました!
トリュフォーの映画は見たんですが、ブラッドベリの原作はまだ読んでません...
考えることをやめた、もしくは今まで考えたことのなかった役人の男性と
「本=文化」を愛している女性が出会って、
男性の頭に突然感情や思想が流れ込んでくるんですが...
それを高校生に置き換えてアップデートしたのが『フィード』だと思います。
『華氏451』では、男性は当惑しながらも女性を受け入れます。
でも『フィード』のタイタスは、この感情は何なのか、
なぜ自分が混乱しているのか、幼すぎるせいでわからなくて、
未知のものを受け入れられなくて、慣性に負けてしまうんです...
「フィード」に依存した世界では、「物事を考えること」「疑問を持つこと」の方が異常だから、
時代に取り残された学者の娘ヴァイオレットは「グロテスク」な存在なんでしょうか...
でも流行に身を任せている女の子達とどちらが「グロテスク」なのかは描写から明らかです。
女の子たちは流行だからといって自分たちの体に自ら「タダレ」をつくるんですから。
でも流行に身を任せている女の子達とどちらが「グロテスク」なのかは描写から明らかです。
女の子たちは流行だからといって自分たちの体に自ら「タダレ」をつくるんですから。
不条理を受け入れたり、慣れてしまうことって本当に怖いですよね...
今の私にとても切実な話なので、勢い余って
ちょっとねたばれしてしまいました。
映画や小説に出てくるVioletという名前の女の子は
印象的で、なぜかだいたい好きです。
この秋こそ本をいっぱい読みたいです。
Good Night☆
Marikukico